REAL SAKE GUIDE

某香料会社勤務の研究員だったコンキチがおくる、REALなSAKEの備忘録。

Wednesday, February 27, 2008

ISADAISEN_伊佐大泉


-COMENT-
創業明治38年。蔵のある街は、四方を山に囲まれ、霧島連山を東に仰ぐ山紫水明の地だとか。蔵唯一の銘柄である「伊佐大泉」は、「伊佐地方の汲めどもつきない泉のような酒」という意味で命名された。洗米から製麹まで全て手作業でおこなうという丁寧な仕事ぶり。「伊佐美」(甲斐商店)、「伊佐錦」(大口酒造)と並ぶ伊佐三大銘柄の一つ(3社の中では大山酒造が一番小さい)。
-RATING-★★★★☆
-REVIEW-
芋の香りがとっても柔らかく周囲に香ります。口当たりもとっても柔らかで、Oily。Mild & Smoothな感じで良質な芋の風味が体の隅々までしみ込んでいく感覚です。Finishは若干の苦みを伴い、"すっ"と淡白に味が消えてゆく感じで、その様はなんともいえず良い感覚です。
-DATA-
原材料 (raw material)/ さつまいも(コガネセンガン、シロユタカ)・米こうじ(白麹)
Alc. / 25%
蒸留方法(distillaton method)/ 常圧蒸留(Atmospheric distillation)
仕込み水(Water)/ 川内川の伏流水
-COMPANY-
大山酒造合名会社


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Sunday, February 24, 2008

ISAMI_伊佐美


-COMENT-
創業明治32年。蔵は川内川上流の大口盆地に位置する(薩摩の北海道と呼ばれる美しい土地らしい)。かつて伊佐地方とよばれていたことから「伊佐美」の酒銘が生まれた。麹は麹蓋により手作り。創業以来一貫して黒麹を使用。1次仕込は瓶で行い、仕込はさつま芋の収穫される9月から3月の間のみという。元祖「幻の焼酎」である本品は蔵唯一の銘柄。
-RATING-★★★★★
-REVIEW-
ややOilyな舌触りと優しく上品な甘い香味がVery good 。コクがあり、それでいてしつこくない。呑むほどに、酒器を口に運ぶ回数が増える。黒麹仕込にしては、非常に上品に仕上がっていて驚き。噂に違わぬ旨い酒です。
-DATA-
原材料 (raw material)/ さつまいも(コガネセンガン)・米こうじ
Alc. / 25〜26%
-COMPANY-
(資)甲斐商店


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Saturday, February 23, 2008

DAISHICHI_大七 純米生もと


-COMENT-
創業宝暦2年(1752年)。生もと造りで有名な蔵。本品は、
「あなたが選ぶ日本酒大SHOW」で大賞
「お燗でじっくり飲みたいお酒ランキング」(日経なんでもランキング)で第1位
などに輝いた評価の高い酒です。手間を惜しまない生もと造りの深い味わいが堪能できます。
-RATING-
常温で★★★★☆
燗をつけて★★★★★
-REVIEW-
常温/ 拡散性はないが、Body感を感じさせる濃厚な香り。味は想像通り強力なBodyで、滑らかかつ重厚な舌触り。熟れた果実を想起させる強い酸味が特徴的な芳醇旨口。力強い酒質ながら、柔らかく滑らかで嫌な味が一つもない良酒に仕上がっている。
燗(50℃)/ 酸味が染み入る感じ。甘酸っぱいニュアンスが増し、熟れた杏様のなんともいえない良い香りが五臓六腑に染み入ります。確かに燗が良く合います。
-DATA-
分類(Grade)/ 純米(Junmai)
原料米(Rice variety used)/
精米歩合(Rice polishing ratio)/ 69%(扁平精米)
アルコール分(Percentage of Alcohol)/ 15%
日本酒度(Sake meter value)/
酸度(Acidity)/
アミノ酸度(amino acid degree)/
酵母(Yeast)/
杜氏(Toji)/
仕込み水(Water)/
-COMPANY-
大七酒造(株)
http://www.daishichi.com/

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Sunday, February 17, 2008

SUIGEI_酔鯨 純米酒 八反錦60%


-COMENT-
創業明治5年。蔵は桂浜に隣接する高知市長浜の地に位置する。本品は原料米を全面に打ち出した酒銘で、蔵元のヤル気とこだわりがかなり伝わってきます。酒銘の「酔鯨」の由来は、幕末の土佐藩主、山内豊信(容堂)(とってもサケ好きだったようです)の雅号「鯨海酔侯」に因んだもの。
幕末のダイナミズムと鯨というスケールの大きさは、この酒の味にも如実に現れていいると思います。
ラベルは黒字に銀抜きで高級感溢れる超渋いデザインですね。
-RATING-★★★★★
-REVIEW-
微かに砂糖を想起させる甘い香り。口に含むと、まず特徴的かつ凄く好感触な果実味を伴った酸味が押し寄せる。杏の様な気品ある酸味です。次いで、米の芯の味がする。フィニッシュはBittre感を伴って淡麗に味が消えて行く。凄く美味いです。
-DATA-
分類(Grade)/ 純米(Junmai)
原料米(Rice variety used)/ 八反錦
精米歩合(Rice polishing ratio)/ 60%
アルコール分(Percentage of Alcohol)/ 15-16%
日本酒度(Sake meter value)/ +6.0
酸度(Acidity)/ 1.65
アミノ酸度(amino acid degree)/ 0.95
酵母(Yeast)/ KA-1
杜氏(Toji)/ 土居教治(広島安芸津杜氏)
仕込み水(Water)/ 清流鏡川の源流軟水
-COMPANY-
酔鯨酒造(株)
http://www.suigei.jp/


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Saturday, February 16, 2008

ふぐひれ酒

冬真っ盛りという感じの今日この頃。熱い燗が美味しい季節です。純粋に燗を楽しむのも良いのですが、熱くつけた燗酒で抽出系のおサケを試すのも乙なもので、燗酒の可能性の広がりを堪能できます。

ということで、トラフグのふぐひれ酒を自宅で試してみました。

合わせた酒は「一ノ蔵 無鑑査本醸造辛口」です。くせのない酒質で、軽く辛口のこのお酒は、抽出系によく合いそうな予感がありました(実際良く合いました)。

ふぐひれを焦げ目がつくほどに炙って器に投入し、下品なほどに熱した燗酒をそこに注ぎ込みます。すると、琥珀色の色素がふぐの香味とともに拡散し、日本酒の中に溶け出していくのです。とても良い香りが漂い、深い味わいが酒に付与されていきます。そして、くせの無い一ノ蔵がふぐの香味を引き立てていくのです。

こうして出来上がったふぐひれ酒を口に含むと、教科書的な淡麗辛口の酒質に深く奥行きのある魚貝類のコクが乗って、凄い美味さのハーモニーが五臓六腑に広がります。マジで美味い。これこそがシナジー!

酒との相性が良いつまみを、「酒の肴(さかな)」とは良く言ったものだなあと思いました。

この季節、ふぐひれ酒が手放せなくなりそうです。

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Tuesday, February 12, 2008

YUKINOMATSUSHIMA_雪の松島 本醸造 激辛+15


-COMENT-
「雪の松島」といえば、知る人ぞ知る超辛口で有名な酒です。(多分)世界一辛い日本酒度+20のサケもラインナップされています。蔵の沿革は少々複雑で、宮城酒類(株)(昭和25年、県内の酒造業者の共同出資により創業)が2007年に解散したのに伴い、(株)やまや傘下の大和蔵酒造が看板銘柄「雪の松島」を引き継ぎました。なので、やまやに行けば簡単に「雪の松島」を手に入れることが出来るでしょう。
-RATING-★★★☆☆
-REVIEW-
穏やかで微弱な甘くFruityな香り。トップに甘味を感じたとおもうと、徐々に酸が増してくる感じ。フィニッシュは特徴的な酸味とちょい苦味が来て、さらっと消える感じが面白い。淡麗辛口。酸味が際立っているが、嫌いじゃない酸味ですね。
燗酒にすると、酸がトップの方に移る感じです。アルコール臭も増します。クセがなく、抽出系の合いそうです。
淡麗辛口の教科書的味わいで、「冷やでよし燗にしてよし」を地でいく一品に仕上がっていると思います(燗上がりはしませんが、堅実な造りです)。
-DATA-
分類(Grade)/ 本醸造(Honjyozo)
原料米(Rice variety used)/
精米歩合(Rice polishing ratio)/ 65%
アルコール分(Percentage of Alcohol)/ 15-16%
日本酒度(Sake meter value)/ +14~+16
酸度(Acidity)/
アミノ酸度(amino acid degree)/
酵母(Yeast)/
杜氏(Toji)/
仕込み水(Water)/
-COMPANY-
大和蔵酒造(株)
http://www.yamaya.jp/pages/cp/taiwagura/index.html
参考サイト↓
http://hotekarago.blog88.fc2.com/blog-entry-67.html


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Monday, February 11, 2008

ICHINOKURA_一ノ蔵 無鑑査本醸造辛口


-COMENT-
創業昭和48年((株)浅見商店, 勝来酒造(株), (株)桜井酒造店, (株)松本酒造店の4社合同による設立)。昭和52年にリリースした「無鑑査」は、国の鑑査(級別制度)に申請せず、優良な本醸造を敢えて税金の安い二級酒として世にだした豪気な蔵で、級別制度廃止のきっかけとなりました。所謂「無鑑査」ブーム、「地酒ブーム」の火付け役となった蔵です。醸造アルコールは米由来のものを使用。当時の「一ノ蔵無鑑査」には「本当に鑑査されるのはお客様自身です」とラベルに表記されていたそうです。ニューウェーブ系の日本酒のはしりでもあり(少なくともコンキチはそう思っている)、意欲の衰えることのない蔵と評価しています。
-RATING-★★★☆☆
-REVIEW-
画に描いたような淡麗辛口。トップの酸味が特徴的で味に厚みを付与しているように思う。ベースに柔らかい甘み感じる。ベーシックな日本酒という感想です。
-DATA-
分類(Grade)/ 本醸造(Honjyozo)
原料米(Rice variety used)/
精米歩合(Rice polishing ratio)/ 65%
アルコール分(Percentage of Alcohol)/ 15.0-15.9度
日本酒度(Sake meter value)/ +4〜+6
酸度(Acidity)/
アミノ酸度(amino acid degree)/
酵母(Yeast)/
杜氏(Toji)/
仕込み水(Water)/
-COMPANY-
(株)一ノ蔵
http://www.ichinokura.co.jp/


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Thursday, February 07, 2008

「ニッポンの地ビール」を探そう

日本でビールというと、ピルスナータイプのビールが主流で(世界的にみても主流だと思うが)、それ以外のタイプのビールを知らない日本人が多いのではないかと思います(少なくともコンキチの周囲ではそういう人が多い。また、大手もピルスナー以外のタイプのビールも造っているけど、宣伝にあまり熱心でない)。

また、大手ビールメーカーが醸造する主力銘柄しか呑んだことのない方が大半で(国内の流通量は圧倒的だと思うし)、世界各国、ひいては国産地ビールを愛飲する呑み手は酔狂な部類にはいるのかもしれません。

コンキチ自身は、アイルランドのスタウトやベルギーの濃厚なビールなんかが好みだったりしますが(勿論、大手の主力ビールも呑みます)、日本の地ビールも大好きで、旅行にでかけた折に地ビールを物色したり、通販でとりよせたりして地ビールライフを満喫しています。

さて、前置きが長くなりましたが、今回は「ニッポンの地ビール」を探そうということで、地ビール愛好家に最適なガイドブックを紹介します。

←昨年、7月に出版された「ニッポンの地ビール」という本です(クリックでアマゾンにリンクします)。

全国津々浦々に点在する229のブリュワリーで醸造されている個性豊かなビールがところせましと紹介されています。自分もそこそこ地ビールを探求しているという(根拠のない)自負?があったのですが、想像を超える量の醸造所と銘柄が紹介されていて驚かされました。

元来ビールは日本固有のものではなく、外国からの輸入文化です。大手メーカーの通り一辺倒な宣伝をみるにつけ、日本はビール後進国(醸造技術という意味ではなくて、文化として)なのかなとばかり思っていましたが、なかなかどうして、この本を読んで、地方の地ビールメーカーが醸すビールのバラエティーの豊富さに圧倒されるとともに、日本ってひょっとしてビール先進国ジャンと思うまでに至りました。

国産の地ビールを概観するような書籍にあまりお目にかかったことはなかったのですが、この本はいいですね。国産地ビールガイドブックの白眉といっても過言ではないでしょう。地ビール好きが買って損はないと思います。これまでに地ビールにあまり興味のなかった諸兄も、新しい境地が開けるかもしれません。

発泡酒や(所謂)第3のビールは卒業して、香味豊かな地ビールでてリッチな気持ちになる方が、人生潤いがあるのではないかと思います。

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Monday, February 04, 2008

ビールとホップの美味しい関係

アサヒビールのホップに関する論文を紹介します。
J. Agric. Food Chem., 2006, 54, 8855-8861.

タイトルは↓
Comparison of the Odor-Active Compounds in Unhopped Beer and Beers Hopped with Different Hop Varieties

ホップ由来の香りについて研究した論文です。

ビールの香り付けに欠かせないアロマホップの研究にビール呑みとして興味津々です。

さて、本論文中で試されたアロマホップは↓

a) チェコ産ザーツホップ(Saazer)
b) アメリカ産カスケードホップ(Cascade)
c) ドイツ産ヘルスブルッカーホップ(Hersbrucker)

の3種類。

ホップを使用せずに醸造したビールと比較することで、各ホップ毎の特徴的な香りと有香成分を決定しています。

官能評価は、「Green」「Citrus」「Floral」「Spicy」「Muscat-like」の5つの属性についてアロマの強度を評価していて、評価の結果、各ホップは下記のように特徴付けられました↓

●Saazer Hop→Citrus, Floral


●Hersbrucker Hop→Spicy, Green, Floral


●Cascade Hop→Muscat-like



ここからちょっと化学チックな話になりますが、「Green」「Citrus」「Floral」「Spicy」「Muscat-like」様の香気の発現に寄与している化合物もある程度特定していて、

●Green様香気の発現に寄与している成分
1-hexanal
(Z)-3-hexenal
(E,Z)-2,6-nonadienal
(Z)-3-hexen-1-ol
(Z)-1,5-octadien-3-one

●Citrus様香気の発現に寄与している成分
リナロール
ethyl 3-methylbutanoate
ethyl 2-methylbutanoate
ethyl 2-methylpropanoate
4-(4-hydroxyphenyl)-2-butanone
ethyl 4-methylpentanoate
3-mercaptohexan-1-ol

●Floral様香気の発現に寄与している成分
リナロール
ゲラニオール
β-ヨノン
2-phenyl 3-methylbutanoate

●Spicy様香気の発現に寄与している成分
具体的な化合物の同定には至らなかったが、セスキテルペノイド類が検出される領域に検出された成分

●Muscat-like香気の発現に寄与している成分
4-mercapto-4-methylpenten-2-one (暫定)
(Z)-3-hexen-1-ol

ということなんだそうです。

なんか少しビールについて造詣が深まった気がします。

使われているホップのDETAILから、ビールの香りを想起し、
ビールの馨しい香りを感じるたびにホップに想いを馳せる。


なんて感じで、ビールの楽しみ方の幅が広がりそうです。

アサヒビール、いい仕事してますね!


あと、ホップに関するこんなWeb Siteを見つけたのでメモします↓
http://www.geocities.jp/beerforum/bhop.html


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