アサヒビールのホップに関する論文を紹介します。
J. Agric. Food Chem.,
2006,
54, 8855-8861.
タイトルは↓
Comparison of the Odor-Active Compounds in Unhopped Beer and Beers Hopped with Different Hop Varietiesホップ由来の香りについて研究した論文です。
ビールの香り付けに欠かせないアロマホップの研究にビール呑みとして興味津々です。
さて、本論文中で試されたアロマホップは↓
a) チェコ産ザーツホップ(Saazer)
b) アメリカ産カスケードホップ(Cascade)
c) ドイツ産ヘルスブルッカーホップ(Hersbrucker)
の3種類。
ホップを使用せずに醸造したビールと比較することで、各ホップ毎の特徴的な香りと有香成分を決定しています。
官能評価は、「Green」「Citrus」「Floral」「Spicy」「Muscat-like」の5つの属性についてアロマの強度を評価していて、評価の結果、各ホップは下記のように特徴付けられました↓
●Saazer Hop→Citrus, Floral
●Hersbrucker Hop→
Spicy, Green, Floral
●Cascade Hop→
Muscat-likeここからちょっと化学チックな話になりますが、「Green」「Citrus」「Floral」「Spicy」「Muscat-like」様の香気の発現に寄与している化合物もある程度特定していて、
●Green様香気の発現に寄与している成分
1-hexanal
(
Z)-3-hexenal
(
E,
Z)-2,6-nonadienal
(
Z)-3-hexen-1-ol
(
Z)-1,5-octadien-3-one
●Citrus様香気の発現に寄与している成分
リナロール
ethyl 3-methylbutanoate
ethyl 2-methylbutanoate
ethyl 2-methylpropanoate
4-(4-hydroxyphenyl)-2-butanone
ethyl 4-methylpentanoate
3-mercaptohexan-1-ol
●Floral様香気の発現に寄与している成分
リナロール
ゲラニオール
β-ヨノン
2-phenyl 3-methylbutanoate
●Spicy様香気の発現に寄与している成分
具体的な化合物の同定には至らなかったが、セスキテルペノイド類が検出される領域に検出された成分
●Muscat-like香気の発現に寄与している成分
4-mercapto-4-methylpenten-2-one (暫定)
(
Z)-3-hexen-1-ol
ということなんだそうです。
なんか少しビールについて造詣が深まった気がします。
使われているホップのDETAILから、ビールの香りを想起し、
ビールの馨しい香りを感じるたびにホップに想いを馳せる。なんて感じで、ビールの楽しみ方の幅が広がりそうです。
アサヒビール、いい仕事してますね!
あと、ホップに関するこんなWeb Siteを見つけたのでメモします↓
http://www.geocities.jp/beerforum/bhop.html気に入っていただけたら、
ポチッとお願いします(励みになります)↓
Labels: COLUMN 1-20